この記事は壁 Advent Calendar 2021の18日目の記事です.

どの不動産会社を利用すべきか?

住宅購入は悪くない選択肢だと分かった.次は不動産会社選びである.今回の件を通して思ったことだが,不動産会社というか担当者選びは賃貸のとき以上に重要となる.住宅選びから実際に入居するまでの長い間,担当者とは二人三脚で物事を進めていくことになる.その間ずっとメールまたはオフラインでやり取りを続けていくことになるので,相性が合わないのであればかなり辛いものになる.駄目だと思ったら早期に変えるのがお互いのためになると思う.また,買手側の仲介は成約価格が高くなればなるほど儲けも増えるので,こういう条件の物件を探していますお願いではなく,自主的に調べてある程度の相場観や知識は身につけておいたほうが良い取引ができると思う(しかし当たり前であるがそれでも担当者側のほうが圧倒的に知識量が上であると感じた.それはそうで,この道何十年のプロに正直不動産を読んだ程度の付け焼き刃の初心者がかなう訳がない.なので知らないことは知らないと認め,リスペクトしながら二人三脚でやっていく必要がある).仲介手数料に関して言えば,基本的には3%+6万円が普通であるが,都心の物件は非常に高いので探せば半額でも元が取れるというのでそういう風に設定している不動産会社もある.

どの物件を購入すべきか?

住み潰すのであれば特に気にする必要はないが,10年後での売却を考慮に入れると住宅の資産性,すなわち値下がりしにくい物件を探すことは非常に重要となる.これはもう結論ははっきりしていて,基本的に都心に近くて駅に近ければ値下がりしにくい.なので資産性だけ考えると,坪単価はくっそ高いが狭い都心の物件を信用力全開で購入するのが一番良い.しかしこれは好みの問題でもあるし,都心の物件を買える層というのはもうだいぶ限られてくる.なのでまあ街の雰囲気であったりとか,マンションのブランド性とか,今後の再開発予定とか,そういった複合的な要素で自分なりの妥協点を探すのが良いと思われる.

さて良さそうな物件が見つかった.しかし提示されている金額が妥当かどうか分からない.そういう場合は不動産会社の担当者に対象のマンションの直近の成約価格と,レインズに掲載されていた過去のパンフレットを取り寄せてもらうことができる.これらの情報と周囲のマンションの相場,間取り,広さなどを勘案することで,パンフレットに掲載されている価格が強気かどうか大まかに判断できる.マンションレビューも参考になるが,うーん個人的には成約価格を見る感じだとちょっと高めに出るかなーと思います.

(余談であるが,現在住宅ローン控除縮小が確定しているのと中国恒心集団の余波が来るかもしれないというネガティブな要因が複数含まれているので,個人的には直近の相場からそこら辺の要素を割り引くのが妥当な価格帯なのかなと感じる)

ちなみに,売主側にも仲介人がいる関係上パンフレット上でお買い得な物件というのはこと中古においてはあまり無く,あるとしたらよっぽど売却に焦っているか訳ありくらいなので,あまりあてにしないほうが良いような気がする.また,調べてみるとレインズに掲載されているパンフレットの価格と成約価格に乖離があることも分かる.個人間の売買の場合,基本的には売手と買手のお互いが納得していればそれで売買契約が成立するので,売手によっては「こんなんで・・・いかがでしょう?」という指値が通用する場合がある(通用しない場合もある).もちろん競争率の高い物件の場合売手は高い値段を提示する買手を優先するので,低ければいいというものではない.あくまで妥当な価格帯の中でぶつけるのが良いと思う.

壁はぶち壊せる

住宅において重要な要素の一つとなるのは間取りである.賃貸と同じノリで考えてしまうと間取りは基本的に変更できないものと考えてしまうが,別にそういうわけではなく専有空間なので壁は自由にぶっ壊して良い(管理組合への届け出とかは必要).なので例えば最初は2人で住むので3LDKの壁をぶっ壊し広い1LDKにして,将来お子さんができて個人の部屋が必要になったら壁を増やして2LDKの個室を作る,なんてことも可能になる.対象の住宅が「スケルトン・インフィル(SI)」構造であれば,壁の増設・撤去・間取りを含めたフルリノベーションを通常よりもかなり安価な値段で行える.もし長期間住むことを考えているのであれば,狙っている住宅が該当しているかどうか確認してもいいかもしれない.

内覧について

気に入った住宅を見つけたので内覧をしよう!賃貸とは違って,中古マンションの場合は人が住んでいる部屋にお邪魔する形になることが多い.なのでお互いに空きがある日時を調整した上で内覧に臨むことになる.当たり前であるが売手は見知らぬ人が勝手に自分の家に入ることになるわけで,できることなら冷やかし人間を避けたいと思うのは当然のことである.なので人によってはこちらの資産状況や家族構成について事前に聞いてくる方もいる.最初はなんで売買に関係ないこと開示しなきゃいけないんだろうと思ったけどそういうことなのかなと思った,が,やはり資金繰りなどを開示するのは本意でなかったので結局その物件の内覧はキャンセルしてしまった.人生とはめぐりあいである.

本気で狙っている物件の場合,いざ売主を前にすると質問事項を忘れてしまうので事前に細かい質問リストを予め用意するのが良いと思う.ここで難しいのは,築浅の場合はそんなに直す箇所がないので査定しやすいのだが,築年数が経過していくと水回りや内装などのリフォームをしたい箇所が出てくる.当然ながらその費用はこちら持ちになるので,だいたいの標準的な状態にするためのリフォーム費用も予め見積もっておく必要がある.めんどくさいですね.

内覧していて思ったが,賃貸のときよりもかなりのコミュ力を使う.また,いろんな人がいるので中古物件は結構個性が出る.先代のこだわりの中から何を捨てて何を残すのかを考え,リフォームで作り直していくという面白さは中古物件ならではかもしれない.

手付金について

良かったら不動産購入の申込書を書く・・・前に,住宅ローンの事前審査を通して,「自分は本当にこの不動産を買える信用力があるんだぞ」という証拠を見せる必要がある.基本的には源泉徴収票とか確定申告の控えとかをえいやっと送って数日すれば合否が帰ってきて,合格であれば不動産購入申込書を書く権利が得られる.そのとき手付金の額を書く必要があるのだが,だいたい物件購入価格の5〜10%が相場と言われている(なんか100万で良いみたいな記事も見かけたけどまじで?みたいな気持ちになった).ここで注意しなきゃいけないのが手付金は現金が基本という点で,仮に承諾されてすぐ契約に移ってしまうと数百万の現金を即座に調達する必要がある(他の人の話を聞いていると新築だと銀行振込の場合もあるとのことであるが,基本は現金だと思う).このとき,だいたいの資産を投資信託にぶっこんでいたりとかネット銀行しか契約してないのでATMでしか下ろせませーん,となるとひじょーーーに焦ることになる.あと窓口からの数百万の現金引き出しはマネロンを疑われるので,個人証明書や印鑑はもちろんのこと,不動産購入申込書の控えを持っていったほうがいいかもしれない.後は引き落とした数百万の現金を家まで運ぶ必要があるのだが,これもなかなか緊張する作業であった.

住宅契約について

後は契約日に手付金と身分証明書と収入印紙と実印を持っていって,重要事項を聞いて,無限にサインと印鑑を連打しまくって,札束を渡せば契約完了である.お疲れさまでした.ここまで来るともう後戻りはできなくなる.

住宅ローンについて

無事住宅契約が終わって手付金も払った.がまだ戦いは終わっていない.次に行わなければいけない作業は,期間内に住宅ローンの本審査を通すことである.これがなかなか神経を使う.万が一期日までに住宅ローンの審査に全部落ちた場合,融資特約を行使して手付金を返してもらうことになるのだが,想像もしたくない大変めんどい作業がまた待っていることになる.なのでなにがなんでも期日までに膨大な量の書類を揃え,審査を通す必要がある.あの博士課程の期日までに論文何本揃えなきゃいけないみたいな胃がキリキリする感じを思い出しますね.